とりプロなう63号

選挙市民審議会第8回第2部門審議会

2016年9月26日(月)18:00-19:50衆議院第2議員会館第3会議室において、とりプロ選挙市民審議会第8回第2部門審議会が開催されました。

年末の中間答申に向けて、第2部門の座長である只野雅人共同代表(写真中央)より「中間答申の叩き台」を提出してもらい、それを基に審議をしました。議長は太田光征委員(実務者、写真右)。太田委員からも中間答申の修正案が出されました。

 

 

只野共同代表の中間答申案と太田委員の中間答申案(修正意見)は、「議事録・レジメ資料シェルフ」からダウンロードできます。どうぞご参照ください。

只野雅人共同代表

(一橋大学教員 憲法学)

衆院の現行選挙制度の制定経緯において、1991年の第8次選挙制度審議会の出した答申を無視できない。中選挙区制批判がその中心だった。

現行の衆院小選挙区比例代表並立制には課題がある。得票数と獲得議席数の乖離、死票の多さ、大政党に有利、一票の較差、女性議員の少なさ。これらの課題を改善するために比例代表制を中心に、政党の選択と人の選択との兼ね合いを配慮しつつ、新規参入のハードルを下げ、女性議員を増やす方策を盛り込むという方向性ではどうか。

参院においては、特に一票の較差、「強い第二院」が注目されている。本審議会は今までおざなりの小幅改正にとどまっていた参議院の選挙制度も含め、衆参同時に改正案を考える。参院の存在意義をどのように捉えるか、地域代表的性格を求めるのが妥当か、政権と距離をおく人物選択が妥当か、さらに検討を進めたい。

 


太田光征委員

(平和への結集代表)

選挙制度で二大政党に誘導するのは間違っている。

選挙運動だけではなく選挙制度も政党本位となっていて無所属への差別がある。

「一票の較差」(投票前の定数配分の較差)と言う場合に最大格差ばかりを論ずるべきではない。格差が地域ごとに偏っていることも大きな問題。

小林五十鈴委員

(日本婦人有権者同盟共同代表)

政治腐敗を防止することは選挙制度の役割の一つ。有権者も劣化している。地域から、腐敗の問題もなく選んでいける制度を。

林克明委員

(ジャーナリスト)

中間答申のキーワードとして、「無所属候補」「小政党」「新たな政治勢力」というものが考えられないか。

田中久雄委員

(変えよう選挙制度の会代表)

「多様な民意」がポイント。中間答申でかなり強調して良い。太田修正は表現が強い。国会議員も含めて運動を広げなくては。

定数削減は有権者の選択肢を狭めるので反対。複雑な社会と議会を結ぶパイプが選挙であり政党。無所属は仲間を増やせば良い。

伊藤朝日太郎委員

(弁護士)

「政党中心」を全肯定する表現は避けたほうが良い。この部門でコンセンサスを得られていない生煮えの内容は盛り込むべきではない。只野代表案をベースにして、中間答申づくりを進めてはどうか。

桂協助委員

(選挙制度研究家)

制度は人の行動を誘導する。政権交代なども視野に入れた制度設計をすべき。システムを作る次元では基本的人権の話を持ち込むべきでない。

 

山口真美

(弁護士)

議員定数の問題は衆参に関わる。投票率は小選挙区と関わる。制度の問題に組み込むべき。

民意の反映と民意の集約は対等な対概念ではない。選挙制度は、代表を通して主権者がこの国のあり方を決めることに仕える。国民主権が最重要。

小澤隆一委員

(東京慈恵医科大 憲法学)

1994年の小選挙区制導入以来投票率がガタ落ちしている。投票のインセンティブが必要。

候補者の名簿を作成する比例代表制選挙においては無所属候補は無いとまで言える。移譲式であっても選挙区選挙と比例代表は概念的に区別すべき。

城倉啓

(とりプロ事務局長)

只野案と太田案との間には、「選挙制度における政党優遇」の書きぶりにかなり差異がある。議論してほしい。次回も只野代表に中間答申第二案を作成していただいてはどうか。


【選挙市民審議会の予定】

10月24日(月)17:00-19:00第1部門審議会 衆院第2議員会館第3会議室

10月28日(金)10:00-12:00第2部門審議会

11月上旬 第3部門審議会

11月下旬 全体審議会:中間答申準備

12月   全体審議会:中間答申決議