とりプロなう70号

選挙市民審議会 第2回第1部門・第3部門合同審議会

2017年2月16日(木)17:30-19:30、衆議院第2議員会館第5会議室にて選挙市民審議会第1・第3部門合同審議会が開催されました。議題は「選挙管理委員会等について」。左は発題をする片木淳共同代表、右は議長役の三木由希子共同代表です。

片木淳 第1部門共同代表

(早稲田大学教員、

元自治省選挙部長)

 

この20年ほどの地方分権化の大きな流れにより、選挙管理実務は、上意下達の「機関委任事務」から、「自治事務」「法定受託事務」となった。

日本の中央選挙管理会は、総務省の附属機関である。三条委員会ではないが、八条委員会よりも権限は大きい。委員数は5名。30歳以上。国会の指名に基づいて首相が任命。任期3年の特別公務員。

 

世界の選挙管理委員会は、選挙についての政策・監視や、選挙の実施のあり方が政府からどれほど独立しているかで、三つのモデルに類別される。「独立モデル」「政府モデル」「混合モデル」である。韓国は、独立モデル、日本は混合モデルに位置する。

日本の選管内部で改革論議は今までなかった。事務で手いっぱいだった。

選挙管理事務にあたっている者たちに向けて「民主主義を守り育てる中心的存在たれ」という叱咤激励になるような改正案を作りたい。

三木由希子 第3部門共同代表

(情報公開クリアリングハウス理事長)

 

韓国には憲法裁判所があり抽象的な憲法判断ができる。選挙区割委員会はかつて国会の下にあったが、憲法裁判所の判決もあり、2015年に中央選挙管理委員会に移管された。

組織上の位置づけは、1965年以来憲法に明記された憲法機関なので、日本の会計検査院と重みは同じ。中立性よりも独立性に軸足がある。

2月末に第3部門委員3名で韓国視察・調査を行う。政党法の存在等さまざまな違いはあるにしても、非常に参考になる事例なので、議論の入り口にしていきたい。

 

 

 

小林幸治 第1部門委員

(市民がつくる政策調査会事務局長)

 

韓国の選挙管理委員会は選挙区割に関与しているのか。選挙制度を見直す第三者機関も必要か。

三権から3名ずつの中央選管委員が任命されるが、結局大統領の影響が強くないか。誰が誰を任命する仕組みとするかが重要だと思う。

  

 

 

坪郷實 第1部門委員

(早稲田大学教員)

 

選挙運動が自由となり規制が減れば、問い合わせ対応などの選管の実務は減るのか。

独立性の程度、事務局の強化、権限の拡大などは、他の論点と併せなくては論じにくい。

地方分権との関係で言えば、国政は議院内閣制、地方は二元代表制なのだから、別々の選管があっても良い。

 

 

 

 

 

山口あずさ 第1部門委員

(私が東京を変える代表)

 

都道府県・市町村の選管、警察、総務省に公選法上の関連で同じ質問をしたことがある。選挙期間中の現場で法解釈・取り締まりの判断が揺れている。

憲法裁判所がもしもあったら、恣意的に判事を任命されるおそれもある。

 

 

 

 

 

桂協助 第2部門委員

(選挙制度研究家)

 

主権者教育をぜひ一つの柱として検討してほしい。学童期の子どもたちだけではなく、一般有権者にも有益と考える。

 

 

 

 

太田光征 第2部門委員

(「平和への結集」をめざす風代表)

 

韓国の大統領府の選挙不正を選管が黙認したことがあったと聞くが。

「先進国は政府モデル、なぜなら選挙不正が少ないから」とばかりも言えないのでは。米国に選挙不正があったので。

「一票の較差」訴訟の被告はなぜ選管なのだろうか。法律を作っているのは国会議員なのに。

 

 

 

 

城倉啓

(とりプロ事務局長)

 

選挙管理委員会を改革するという立法事実、法改正の積極的理由づけは何か。

地方分権改革の流れにうまく乗らないと政治家も市民も乗ってこない。韓国の中央集権的な選管を参考例にすることが、うまく合致するか。

 

【選挙市民審議会の予定】

第1部門審議会 3月2日(木)17:30-19:30 国会議員会館内会議室

第2部門審議会 3月22日(水)17:00-19:00 国会議員会館内会議室