とりプロなう84号

選挙市民審議会 第3回 第1・第3部門合同審議会開催

2017年7月25日、衆議院第2議員会館地下1階第2会議室にて、とりプロ選挙市民審議会の第3回第1・第3部門合同審議会が開催されました。

この日の審議は、「公費負担のあり方」についてでした。小林幸治委員が発題を担当し、それに基づき自由討論をいたしました。

 

小林幸治委員(第1部門) 

 

選挙運動費用のうち、「選挙運動用の自動車の使用」「通常葉書の作成」「ビラの作成」「選挙事務所/選挙運動用の自動車等/演説会場の立札・看板の作成」には、一定の公費負担(税金による支援)がなされる。

候補者一人あたりに公費は最大どれだけあてがわれうるか。現行法のもと、衆議院選挙の場合は一人あたり3,265,185円、参議院選挙区選挙の場合は4,038,956円、同比例代表選挙の場合は7,710,178円である。

選挙区ごとの実際の公費負担は、2014年衆院選挙の場合、最大が北海道6区の27,763,200円で、最小が鳥取1区の22,674,200円。2016年参院選挙の場合、最大が北海道選挙区の59,827,100円で、最小が高知県選挙区32,742,400円、比例代表が52,000,000円。同参院選の公費負担全国総額は2,114,337,500円。

日本の政党助成金は使途を定めていないので選挙運動費用にあてがう政党もある。政治資金の運用方法は規制されているが選挙運動費用としての制限はない。

企業団体献金禁止はすでに中間答申で打ち出した。個人献金を促すとしてもすぐに増えないであろう。政治活動(選挙運動)の費用をどう集めるのか。選挙費用は抑えるべきと考えるが、資力のない候補者のために公費負担は必要。たとえば現在の最大支給額を参考に内訳を問わずに総額支援することもありうるか。

内訳を問わないとしても使途の透明化をはかる厳正なチェック機関(会計検査院等)が必要。公費負担は、政党に対してと、候補者個人に対してと切り分けて考えた方が良いか。

短期集中で政策論議もない現状の選挙から、つらくない・楽しい選挙に。

 

 

 

 

 

片木淳共同代表(第1部門、今回の議長)

 

選挙運動期間を撤廃するとしても「選挙運動」という概念は残しておくべきか。そして選挙運動にかかる額の一部を公費で負担させるか。政治資金という概念で区切るべきか。

選挙運動期間の無いドイツの場合、選挙運動への公費負担は、政党が選挙運動費用のために集めた寄付と同額と定められている。

国家権力が政党をどこまでチェックできるのか、チェックすべきなのか、吟味すべき。今までの議論の流れから、ある程度の公費負担はすべき。総額支援をするとしても算定方法が課題となる。

 

 

 

 

 

 

 

三木由希子共同代表(第3部門)  

 

選挙運動期間がなくなった場合、いつの時点から公費負担されるべき候補者となるのか。候補者選定のプロセスをどう考えるか。

全体像の大きな組み直しが必要。公職選挙法だけではなく、政党助成法、政治資金規正法との関係を視野に入れながら、政治や選挙にかかるお金を誰が・どのように負担していくべきなのか。各国の仕組みを参考にしつつ、「選挙」の定義や、未来の社会像について日本側の整理が必要だ。

国政政党のみを想定してもいけない。

 

 

 

 

 

 

大山礼子委員(第3部門)  

 

イギリスでは議会会派に対する補助金は野党にのみ支給される。政権与党は助成されない。

政治資金規正法がザル法であることが大きな問題。

政党助成金の使途を縛るということも重要。たとえば女性候補者を立てない場合は助成金を減らすとか、政策立案のためとか。

選挙運動期間を無くすためには、現在の野放図な解散を制限しなくてはだめだろう。ドイツやイギリスのように。

 

 

 

 

 

 

 

太田光征委員(第2部門)

 

第2部門で審議中の国政選挙制度の議論と、公費負担の議論とは切り離して考えたい。お金がかかるかどうかと、民意の反映とは別の次元の課題として。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桂協助委員(第2部門)

 

選挙運動期間を撤廃する以上、政治活動の中に選挙運動が包含されると考えざるをえない。政治活動の収支報告書を提出させるしかないのでは。総額支援という公費負担のあり方に賛成。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

丸井英里とりプロ事務局

 

公費負担の使途を明記しないとなると、選挙運動とは全然関係のない活動のために選挙を利用する人が出てくるかもしれない。

選挙運動期間を撤廃する場合、安定的組織を持っていない選挙陣営の場合は長期間の選挙運動を続けることが苦しくなるかもしれない。

 

城倉啓とりプロ事務局長   

 

公費負担議論の前提として、供託金の課題とは切り離す。供託金の没収額は公費負担をまかないきれていないし(2013年参院選で780,000,000円)、「雑収入」で受けており両者は対応していない。


【今後の選挙市民審議会の予定】

7月28日(金)10:00-12:00 第2部門審議会 衆議院第2議員会館地下第5会議室

8月22日(火)18:00-20:00 第2部門審議会 場所未定

8月28日(月)15:00-17:30 第1部門審議会 衆議院第2議員会館地下第6会議室