とりプロなう97号

2018年5月31日、衆議院議員会館にて、第2期選挙市民審議会の第3回目の審議会が開催されました。

この日の審議内容は、選挙公営・政治資金制度・政党国庫補助制度についての国際比較でした。

         小林幸治委員
         小林幸治委員

 

小林幸治委員

 

米英独仏韓の5カ国の比較資料を国会図書館に作成してもらった。米は異色。「機会の平等」・「表現の自由」という観点から規制について抵抗が強い。

政党に国が補助金を出す場合、使途を問わない独仏や、使途を限定する英韓のようなあり方がある。日本でいう「選挙公営」という考え方が諸外国にはあまりない。英仏ぐらい。英は支出制限が細かく規定されている。収支報告を独は連邦議長に提出する。米は報告頻度が四半期ごとと細かい。

『答申』は有権者の視点で作成している。政治資金や選挙運動費用上限規制で平等性を確保したい。

英の仕組みをもとにシミュレーションをしてみるのも一案。

          岡﨑晴輝委員
          岡﨑晴輝委員

 

岡﨑晴輝委員

 

『答申』95ページの考え方で良いか。選挙運動規制の全廃ではなく、選挙運動規制を評価する基準を作成し、一つ一つを検討してはどうか。政治家の時間的・金銭的コストを抑えるべき。

政治活動と選挙運動の区別をなくすということは、別々の収支報告が一本化されるという理解で良いか。それで上限規制ができるか。

外国の事例資料ばかりでも国会で一蹴されるだけ。『答申』124ページに加筆していく作業が必要では。「個別の選挙運動を自由化し、選挙運動期間も撤廃することを前提に、投票期日までの一定期間における選挙運動費用(総額。公費負担含む)について一定の制限を設ける。」の肉付けを。

        片木淳共同代表
        片木淳共同代表

 

片木淳共同代表

 

現在の選挙運動規制は厳しすぎる。自由で楽しい選挙への改正が大きな方向性。規制撤廃。

すると資力による不平等が起こりうる。そこで、選挙運動について、貧しい人への支援と富んでいる人への規制が必要となる。

政治資金については寄付をもらって支出制限なしでどんどん政治活動をすべき。

英では、選挙運動の概念は、「当選の促進や候補者の評価を高めることを目的として、以下の8項目に該当する行為(政党政治放送、マニフェスト、交通費、集会・・・)」としており、その範囲の行為について支出制限をしている。

日常の政治活動が活発な人が有利になることは構わない。問題は平等の観点から不合理であるかどうか。有利/不利は論じない。

        三木由希子共同代表
        三木由希子共同代表

 

三木由希子共同代表

 

規制撤廃に伴うコストの増大に対する調整は第二期選挙市民審議会の課題。

従来の選挙運動/政治活動という概念はなくなる。政治活動の延長に選挙運動があると考える。それでも何らかの範囲が必要だろうし、国政政党しか助成しないのはおかしい。お金と期間はリンクしている。

政治資金を集めやすい現職が有利。日常的政治活動が活発な現職有利はいかがか。

         小澤隆一委員
         小澤隆一委員

 

小澤隆一委員

 

岡﨑委員の問題意識に賛同。選挙運動規制を撤廃した場合の「予期せぬ効果」もカウントすべき。

英の選挙運動費用の支出制限は、政治活動費用とは別のもの。諸外国の良いところを個別に取り入れるよりも、全体を議論する中で位置づけを定めていく方が良い。

独は比例代表だから政党が一括して報告できる。国政選挙制度と政治資金収支報告は関連している。『答申』で、衆院は比例(政党選択)・参院は大選挙区(人物選択)としているが。

英が制限の適用期間を365日としているのは解散に制約があうからかもしれない。

現在の「差」が問題なのではない。新規参入を容易にするかどうかが問題。

片木代表紹介の8項目に「人件費」が含まれていないことに留意。

          田中久雄委員
          田中久雄委員

 

田中久雄委員

 

諸外国との比較は有益。良いもの・使えるものは積極的に個別に取り入れて良い。

政治資金収支報告書の書き方について、英独が対照的。独は政党が一括して年次報告をするだけだが、英は政党に政治活動の年次報告・選挙運動費用の支出報告もさせ、さらに候補者にも選挙運動費用の支出報告もさせている。

新規参入を容易にすることに公費負担は有効。選挙運動費用の支出上限は必要で、政党にまで適用範囲を広げるべき。報告書のあり方については継続して検討すべき。

         城倉啓(事務局長)
         城倉啓(事務局長)

 

城倉啓(事務局長)

 

「第二期選挙市民審議会の工程表」について、今回審議を反映した改訂を施す。『答申』の「骨子(8ページ)」を常備し、委員の審議を支援する。



【今後の選挙市民審議会の予定】

次回は、72日(月)15:0017:00、選挙運動費用の上限設定について(『答申』124ページ)。担当は小林幸治委員。

次々回は、716日(月)15:0017:00、政党助成制度の論点整理について。加藤一彦東京経済大学教授担当。

 

【選挙供託金を考える議員交流勉強会】

日時 628日(木)14:00-16:00 

場所 議員会館内会議室

対象 国会議員、地方議会議員、一般参加者

主題 現行の選挙供託金制度についての学び。そもそもの立法事実と立法趣旨や、制度改変の推移を経た原稿性の持つ課題(立候補の参入障壁)を学びます。

内容 ①とりプロ選挙市民審議会委員による報告

     石川公彌子さん 『選挙・政治制度改革に関する答申』中の改正案

小澤隆一さん 選挙制度全体デザインの中の選挙供託金

   ②国会議員による質疑応答と意見の交換

   ③他の参加者を交えての質疑応答と意見の交換

 

 現在のところ、宮川典子衆院議員(自由民主党)、岸本周平衆院議員(国民民主党)が参加予定ですが、すべての政党/会派に参加呼びかけを行っている最中です。