とりプロなう101号

2018年9月27日、第二期選挙市民審議会の第7回目の審議会が開催されました。

この日のテーマは「公費負担・政治資金・政党助成改正原案」。小林幸治委員が担当しました。

また、今後の審議会の進め方や、首長選挙改正案の宣伝の仕方なども協議しました。

         小林幸治委員
         小林幸治委員

 

小林幸治委員

 

前回審議を受けて、次のような改正原案でどうか。

 

「立候補後選挙活動期間」を新設する。投票日(基準日)から40日前以内に選挙期日を決定し(憲法54条参照)、30日前までに候補者の届出・公表、14日前までに不在者投票・期日前投票という流れにする。

 

立候補後選挙活動期間になされた支出に当たるものを、①政治放送、②広告、③選挙人への配布物、④マニフェストその他の政策文書、⑤世論調査、⑥メディア関連の費用、⑦交通費、⑧集会、⑨人件費等とする。

それらの費用には総枠で上限規制をし、報告・公開義務を厳しく課す。政治団体に対しても課してはどうか。違反した場合の罰則も厳しくする。

 

有効投票の一定割合以上を獲得した候補者に対して「立候補後選挙活動費用補助」を支給する。

 

政党交付金の使途を、①政策立案・形成、②女性の候補者、障がい等を持つ候補者、③地方支部組織の活動に定め、使途に関する報告書を年一回義務付ける。

 

大前提として、現在の選挙運動・政治活動の区別はなくなり、何をいつ行うのも自由。

総額規制の上限額は現行を参考に設定したが、定額(たとえば500万円)を一律支給の方が良いかもしれない。総額規制の起算日を大山委員の提案のようにした方が良いかも。たとえば180日前から届出日までの間で立候補ができるようにし、届け出た日を起算日にするなど。

公費負担をインセンティブにして早めの立候補もできるようにしては。

立候補後選挙活動と政治活動は並行する場合がある。期間に入ったらすべての政治活動を報告させたいが、実態として可能か。

       三木由希子共同代表
       三木由希子共同代表

 

三木由希子共同代表

 

立候補の届出と立候補後選挙活動期間の開始は一致するのか。

無所属でも政治団体を立ち上げて立候補させる仕組みに。

立候補選挙活動期間を長くすると、それ以外の期間が相対的に短くなる。規制される期間が長引く結果にならないか。政治資金に支出規制はない。選挙活動への規制は馴染むか。

規制の対象を資金力で優劣がつきやすいものに絞り込んでは。たとえば「広告」のみ規制。小林原案では「人件費」も含まれているが良いか。

総額上限規制の金額は30日を基準に設定しているのか。

自由と平等・公平を両立させることと、著しい不平等を取り除くことという二方向がある。

本日合意できることは、届出期間とそこを起点とした公営については期間を規制と関係なく設定する。総額規制の起算日を立候補届出日と一致させるかどうかは未決とする。総額規制の対象は、①著しい不平等を取り除く規制にするか、②公平・平等を徹底するために細かく枠をはめる規制にするか未決。

韓国には立候補予定登録が可能。登録するとインターネットでの選挙運動が解禁となる。

制限の枠組みを整理する必要がある。

        片木淳共同代表
        片木淳共同代表

 

片木淳共同代表

 

立候補後選挙活動期間が30日というのは短すぎないか。期間に入る前の「事前運動」は可能か。

選挙運動期間撤廃は『答申』でも謳う金科玉条。せめて100日というドイツ並みの長さに。その代わり報告義務とペナルティを厳しく。

個別規制は撤廃し、資金面の総額規制を英国のようにする。

30日間だけの資金力を抑えるだけで良いか。政党はずっとやっている。抜けてしまわないか。

改正案を作成する時に範囲が必要になるので個別列挙が必要。目的と個別行為で縛る必要がある。

収入の規制が必要か。支出だけで良いのでは。

        小澤隆一委員
        小澤隆一委員

 

小澤隆一委員

 

立候補後選挙活動期間が長くなればなるほど公費で補助されることにならないか。

衆院総選挙と知事選・自治体議員選挙を一律横並び40日にしなくても良いのでは。小さいエリアなら短くても良いかも。

現行の公費負担の仕組みは立候補のハードルを上げている。

第一部門の提言の根本は「自由」。規制はなじまない。ただしテレビ広告は別。政治活動としていかがか。

          坪郷實委員
          坪郷實委員

 

坪郷實委員

 

解散との関係は、一年前に選挙日程が決まっているかどうかにかかる。

規制をすることへの疑問もある。選挙/政治費用の規制については歴史的経緯を掘り起こしての理由付けが必要。

国民投票法との兼ね合いも考え、テレビ広告など一部に費用規制を絞るのも一案。

総額上限設定ならば、小林原案のように①から⑨まで個別にあげる必要はないのでは。

        大山礼子委員
        大山礼子委員

 

大山礼子委員

 

解散後40日以内の総選挙という憲法規定は、国会のない期間をなるべく短くして独裁を防ぐためという趣旨。

立候補の締切日、総額規制の起算日、選挙公営の開始日を、必ずしも一致させなくても良いのでは。選挙公営は立候補締め切らないとできない。総額規制の起算日は前からできる。たとえば立候補締切は30日前にするが3ヶ月前から起算するなど。立候補するって言った時点起算。

小林原案では、解散をして次の日に立候補の締切をしうる。不意打ちの解散によって、与党以外の候補者が立候補できなくなるかもしれない。

早めに立候補の登録をすることに何らかの得を設けなくては、誰も早めに規制される行為を選ばない。

         田中久雄委員
         田中久雄委員

 

田中久雄委員

 

小林原案の「40日・30日」に賛成。

個人と政党で、期間を別々に設定しても良いかも。たとえば個人は30日から40日、政党は100日など。広告については政党に対して規制したら良い。

      岡﨑晴輝委員(スカイプ参加)
      岡﨑晴輝委員(スカイプ参加)

 

岡﨑晴輝委員(スカイプ参加)

 

参加民主主義者であるのでなるべく選挙運動を自由化したい。今までの選挙運動/政治活動自由、選挙運動期間撤廃を金科玉条とすることに異論がある。それが議論錯綜の原因。ただし、大山委員提案(総額規制起算日を一致させない)のようなラインならば上手くいくかもしれない。この線を発展させたほうが良い。

自由と平等・公平(規制重視)のバランスが必要。今までは自由に偏り過ぎだったのでは。現行法を基に細かい修正を積み重ねた方が良い。最初の前提を再考しては。

       濱野道雄委員(スカイプ参加)
       濱野道雄委員(スカイプ参加)

 

濱野道雄委員(スカイプ参加)

 

気になるのは供託金との関係。一定の得票を獲得した候補者にだけ補助を与えることが、今まで供託金制度廃止を訴えていることと流れが別にならないか。個別規制については、言われているとおり、資金力が影響を与えるかどうか細かく見ていく必要がある。

      太田光征(とりプロ事務局)
      太田光征(とりプロ事務局)

 

太田光征(とりプロ事務局)

 

規制の対象として、広告だけではなく旅費を含めてほしい。

政党交付金の使途として「広告」を除いてほしい。

     城倉啓(とりプロ事務局長)
     城倉啓(とりプロ事務局長)

 

城倉啓(とりプロ事務局長)

 

本日の審議を受けて、首長選挙についての見解の公表時期・内容については年明け以降に再度審議していただく。2019年3月以降の、審議予定については今後の審議状況をみながら事務局で練り直す。



【今後の選挙市民審議会の予定】

  

10月23日(火)10:00-12:00 衆議院第2議員会館第3会議室

 『答申』への応答:国政選挙制度について。岡﨑晴輝委員担当

 

11月28日(水)15:00-17:00 国会議員会館内会議室

 公費負担・政治資金・政党助成改正案。小林幸治委員・片木淳共同代表担当

 選挙管理実務。太田光征事務局担当

  

12月21日(金)10:00-12:00 国会議員会館内会議室

 国民投票運動との関係。山口真美委員担当

 選挙管理実務改正案。太田光征事務局担当