About

わたしたち主権者ひとりひとりの政治参加をもっとしやすくし、

より公正で平等な選挙制度を確立し、

成熟した議会制民主主義をつくるプロジェクト、

それが「公正・平等な選挙改革にとりくむプロジェクト」(略称:とりプロ)です。

 

各分野の専門家が集まった
選挙市民審議会による
4年間にわたる議論の集大成である
『選挙・政治制度改革に関する答申』をもとに

市民発の議連をつくりあげ、公職選挙法の抜本的改革を行うことを目標に活動しています。


News

参議院議員選挙2022 各党アンケート結果を公表します

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参議院議員選挙2022各党へのアンケート
今回の選挙に際してとりプロより各党へ質問を行いました。回答が出揃いましたので公表いたします。内容はダウンロードボタンを押してご確認ください。
20220705各党アンケート結果.pdf
PDFファイル 519.2 KB

質問文はこちらとなります。

【公職選挙法および関連法の改正に関する公開質問状】
公正・平等な選挙改革にとりくむプロジェクト(とりプロ)では、2015年11月30日より2期4年にわたり選挙市民審議会を開催し、2017年と2019年に2冊の『選挙・政治制度改革に関する答申』を公表しています。2017年答申については、当時の国会議員すべてに配布いたしました。
とりプロは2016年5月25日、同年の参議院選挙を前に、「選挙市民審議会見解」を発表しましたが、その中で「21世紀の普選運動」を提起しています。
この表現は、いまだに日本では「普通選挙」が実現しているとはいえないという認識に基づいています。1925年に25歳以上の男子だけの普通選挙が実現したものの、それと抱き合わせで財産差別としての高額供託金制度を設けたり、戸別訪問を禁止したりするなど、参政権を実質的にごく一部の主権者に制限し、それが現在まで引き継がれている現状があるからです。憲法前文に照らせば、「正当な選挙」が実現していないということになります。
そのため私たちは、「公職選挙法」を直ちに抜本改正する必要があると考え、それに代わる「新市民選挙法」を提案させていただきました。
本年7月の参議院選挙でも公職選挙法および関連法の改正が重要な争点になるべきであると考えます。そこで、答申の結論を要約した「自由で楽しい選挙をめざして『選挙・政治制度改革に関する答申』(選挙市民審議会 2017・2019)簡単ガイド」を基に、公開質問状を送らせていただきます。

質問1:選挙運動と政治活動を限定的にしか認めない原則禁止という考え方から原則自由に切り替えることに賛成ですか(選挙運動期間とその間の選挙運動・政治活動規制を撤廃する。ただし、選挙資金の不平等による影響を避けるため、投票日前の相当期間を選挙費用総額規制等期間とし、選挙費用の費目9種類を明示した上で選挙費用総額規制を設けるとともに、選挙費用の一部公費補助を継続する。立会演説会を復活させる)
( )選挙運動と政治活動を限定的にしか認めない
( )原則自由に切り替えることに賛成
( )その他
質問2:世界一高額の選挙供託金(比例区で最大600万円)の廃止に賛成ですか。
( )選挙供託金の廃止に賛成
( )選挙供託金の廃止に反対
( )その他
質問3:立候補年齢を投票年齢の18歳に合わせることに賛成ですか(現在、参議院議員・知事の被選挙権年齢は30歳、衆議院議員・地方議会議員・知事以外の首長の被選挙権年齢は25歳)。
( )立候補年齢を投票年齢の18歳に合わせることに賛成
( )立候補年齢を投票年齢の18歳に合わせることに反対
( )その他
質問4:立候補休暇・復職保障制度の創設、公務員の立候補制限(議員との兼職制限)の廃止に賛成ですか(ただし、国家公務員と国会議員との兼職、地方公務員とその所属する地方自治体の議会の議員との兼職については、立法と行政の権力分立、特に、地方自治体における「二元代表制」の理念等との関係から、兼職を認める職員の範囲等そのあり方について検討する必要がある)。
( )立候補休暇・復職保障制度の創設、公務員の立候補制限(議員との兼職制限)の廃止に賛成
( )立候補休暇・復職保障制度の創設、公務員の立候補制限(議員との兼職制限)の廃止に反対
( )その他
質問5:障がいをもつ人の参政権保障に賛成ですか(投票所の利便性や投票制度の改善、バリアフリー、記号式投票用紙、点字版選挙公報など「知る権利」の保障、手話通訳など立候補者や議員の活動の支援など)。
( )障がいをもつ人の参政権保障に賛成
( )障がいをもつ人の参政権保障に反対
( )その他
質問6:移住者・ホームレスの参政権保障に賛成ですか(住所の認定について、客観的居住の事実よりも居住者の主観的居住意思を尊重する。国政選挙では「3 カ月の住民基本台帳の記載要件」、地方選挙では「3 カ月の住所要件」を削除する)。
( )移住者・ホームレスの参政権保障に賛成
( )移住者・ホームレスの参政権保障に反対
( )その他
質問7:日本国籍をもたない人の参政権保障に賛成ですか(特別永住者に日本国籍を持つ人と同等の参政権を保障する。一定の要件を課した上で定住外国人(永住市民)が投票できるようにする。条例により地方自治体は、定住外国人(永住市民)に立候補する権利を付与することができるようにする)。
( )日本国籍をもたない人の参政権保障に賛成
( )日本国籍をもたない人の参政権保障に反対
( )その他
質問8:衆議院選挙制度のブロック式比例代表制への一本化に賛成ですか(議員定数を500~600に増加。全国を20程度のブロックに分けてブロック選挙区ごとの比例代表制。選挙区定数は15議席以上。非拘束名簿式。議席配分はヘア方式。死票の減少、投票価値の平等、政党支持率と議席配分の一致が見込める。現行は465議席、小選挙区・比例代表並立制、拘束名簿式、ドント方式)。
( )衆議院選挙制度のブロック式比例代表制への一本化に賛成
( )衆議院選挙制度のブロック式比例代表制への一本化に反対
( )その他
質問9:参議院選挙制度の大選挙区制への一本化に賛成ですか(議員定数を250~300に増加。大選挙区の単記制または2名連記制。選挙区数は15から20程度、選挙区の改選定数を6から10程度とする。政党の選択よりも「人」の選択に重点をおいた選挙へ。現行は248議席、比例代表・大中小選挙区並立制、非拘束名簿式)。
( )参議院選挙制度の大選挙区制への一本化に賛成
( )参議院選挙制度の大選挙区制への一本化に反対
( )その他
質問10:首長選挙における決選投票の再導入に賛成ですか(第一回投票で過半数の得票に達する候補者がいない場合に、上位2名による決選投票を行う。第二回投票で過半数を獲得した候補者を当選させる。死票の減少、立候補控えの減少、有権者の政治参与の促進が見込める)。
( )首長選挙における決選投票の再導入に賛成
( )首長選挙における決選投票の再導入に反対
( )その他
質問11:都道府県議会・政令市議会における比例代表制の導入に賛成ですか(選挙区の数、名簿方式、議席配分方式等詳細については未定。死票の減少、投票価値の平等、政党支持率と議席配分の一致等が見込める。現行は大中小選挙区混在(選挙区定数1から18まで))。
( )都道府県議会・政令市議会における比例代表制の導入に賛成
( )都道府県議会・政令市議会における比例代表制の導入に反対
( )その他
質問12:市区町村議会における大選挙区制限連記制の導入に賛成ですか(自治体の規模・議席数に応じて、2名から5名までの候補者に連記投票できるようにする。基礎自治体における政党化 / 政策グループ化の促進、議員の多様性の確保等が見込める。現行は大選挙区単記制(選挙区定数6から50まで))。
( )市区町村議会における大選挙区制限連記制の導入に賛成
( )市区町村議会における大選挙区制限連記制の導入に反対
( )その他
質問13:政党助成法の改正に賛成ですか(現行政党交付金の一部を地域政党に交付する。また政党交付金の15%を政策研究費とし、政策研究組織を設置してその運用費用に充てる。現行政党交付金の一部を、女性・マイノリティグループの候補者を一定割合以上にした政党への助成に、割り当てる)。
( )政党助成法の改正に賛成
( )政党助成法の改正に反対
( )その他
質問14:政治資金規正法の改正に賛成ですか(企業・団体による政治献金を全面禁止する。政治資金パーティーの収益も政治家への寄附(政治献金)とみなす)。
( )政治資金規正法の改正に賛成
( )政治資金規正法の改正に反対
( )その他
質問15:主権者教育の一層の推進に賛成ですか(教育現場における「政治的中立」という縛りを見直す。知識習得だけでなく、対立する現実の政治的テーマについての討論に、教育の重点をずらす。現場の教員に広い裁量を与え教材研究を蓄積し共有する)。
( )主権者教育の一層の推進に賛成
( )主権者教育の一層の推進に反対
( )その他
質問16:請願法の改正に賛成ですか(市民からの立法提案と行政監視の機能を強化する。そのために各議院に「請願小委員会(仮)」を設置する。措置すべきとした請願について、内閣は請願の処理経過を報告・公表することを義務づける)。
( )請願法の改正に賛成
( )請願法の改正に反対
( )その他
質問17:国民投票法の改正に賛成ですか(有料意見広告の全面禁止。「放送通信分野の規則に関する独立行政機関」を設立し、国民投票に関する報道・意見広告等について監督・是正する。一般市民がテレビ・ラジオ・新聞などにより無料で意見表明できる機会を保障する)。
( )国民投票法の改正に賛成
( )国民投票法の改正に反対
( )その他
質問18:抽選制議会に賛成ですか(民意を正確に反映させるツールとして、くじ引きを選挙に組み合わせる。勧告権を持つ「抽選制市民会議(仮)」を自治体議会に付設し、市民の意見を吸い上げる。国政の比例代表制選挙で政党等のほか抽選リストを選べるようにする。あるいは例えば投票率40%の場合、棄権票 60%分の議席数を、抽選によって選ばれた市民に割り当てる)。
( )抽選制議会に賛成
( )抽選制議会に反対
( )その他
(以上)

【選挙・政治制度改革に関する答申(2019)】販売中!*ダウンロードもご自由にどうぞ*

新しい選挙のカタチ、公職選挙法に変わる「新市民選挙法」の基となる提言集。

選挙市民審議会による「選挙・政治制度改革に関する答申」販売中です。

 

<目次>

1 総論 自由で楽しい選挙をめざして

 1-1 現行選挙制度の問題点と「新市民選挙法」の制定

 1-2 政治への市民の意思の反映

 1-3 「新市民選挙法」の制定とその目的規定

2 選挙の新しいルール

 2-1 選挙運動期間の撤廃――選挙手続規定の新設

 2-2 候補者の選挙運動に対する公費負担と選挙運動費用の制限

 2-3 選挙運動規制の廃止後の罰則規定――考え方と方向性

3 政治に人々の意見を反映させる多様な方法

 3-1 請願制度改革

 3-2 国民投票法改正

 3-3 抽選制議会の可能性

4 政治を育てるために

 4-1 主権者教育の一層の推進

 4-2 政党助成法の改正

 

 

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オンライン選挙座談会

4年間にわたる選挙市民審議会によって練られた「選挙・政治制度改革に関する答申」。
この答申をもとにした「新市民選挙法」の立法に向けてとりプロでは様々な取り組みを進めています。

どなたも気軽に参加いただけるオンラインでの連続企画「選挙座談会」もその中の1つ。

わいわいガヤガヤと、選挙の未来についてみなさんと自由に語り合いたいと願っています。

オンライン選挙座談会 Vol.9 

【障がい者の参政権保障】

2022年1月30日(日)14:00~16:30 Zoomにて

ゲスト:芝崎孝夫さん

(障害をもつ人の参政権保障連絡会事務局長)
↓↓詳細はチラシ画像をクリック↓↓


▼2020年 「東京都知事選挙ネット討論会2.5」(文字起こし)

とりプロが協力した2020年東京都知事選挙の立候補者による討論会「ネット討論会2.5」(主催:畠山理仁チャンネル)の文字起こしを公開します。候補者による選挙制度についての疑問についても討論されています。


▼動画でみる新市民選挙法

とりプロが提案している「新市民選挙法」にもとづく新しい選挙のしくみを、一つずつ分かりやすく解説しています。

最新動画では#13「障がい者の参政権保障」を公開しています。ぜひご覧ください。

Youtubeのチャンネル登録もよろしくお願いします。


▼ 選挙・政治制度改革に関する答申(2017)

『選挙・政治制度改革に関する答申~21世紀の選挙民主主義の確立に向けて』(第一期答申)をPDFにて公開しています。2017年12月31日発行しましたが、品切れとなりました。国立国会図書館や大阪府立中央図書館に寄贈しています。

 

必要な方はこちらよりダウンロードしてください。

全157ページ、第二期答申の前提となる諸改革提言です。

 

<目次>

1 理念・総論

1-1 選挙制度

1-2 選挙権・被選挙権

1-3 選挙運動

2 民意が反映される選挙制度

2-1 国政の選挙制度(はじめに 現行の選挙制度 現行の選挙制度の問題点と改革の方向性 改革の提案 その他の検討事項)

2-2 地方議会の選挙制度(首長選挙に決選投票を再導入 都道府県議会・政令市議会選挙を比例代表制に 市区町村選挙を大選挙区制限連記制に)

3 選挙権・被選挙権

3-1 供託金の廃止

3-2 被選挙権年齢の引き下げ

3-3 立候補休暇と議員活動のための休職・復職制度の整備

3-4 日本国籍をもたない人の参政権保障

3-5 障害をもつ人の参政権保障

3-6 学生・ホームレスの選挙権

4 選挙運動

4-1 選挙運動規制の廃止(選挙運動期間の撤廃ーー選挙手続規定の新設 戸別訪問の自由化 18歳未満者の選挙運動の自由化 ローカル・マニフェスト頒布の自由化 電子メールによる選挙運動の自由化 公開討論会の自由化と公営立会演説会の復活)

4-2 候補者の選挙運動に対する公費負担と選挙運動費用の制限

5 選挙を機能させる仕組み

5-1 企業団体献金の全面禁止

5-2 政党交付金の使途を政策づくりに使う仕組みにする

5-3 政治資金のあり方についての方向性

6 展望

 


▼イベントのご案内

 

第二期答申発行記念イベント

 

「自由で楽しい選挙をめざして」

 

2020年2月21日(金)18:30〜20:30

東京ボランティア・市民活動センター

 



▼インタビュー記事

日本国民救援会が発行する機関紙『救援情報』の102号に、

とりプロ事務局長を務める城倉啓のインタビューが掲載されました。

 

 

PDFとテキストを以下よりダウンロードできます。

 

ダウンロード
救援情報102号城倉インタビュー記事
全9ページ
救援情報102号城倉インタビュー記事b.pdf
PDFファイル 1.0 MB
ダウンロード
城倉啓インタビュー
テキストファイル(Word形式)
城倉啓さんインタビュー【確定版】.doc
Microsoft Word 58.5 KB


▼声明

「統一地方選挙に向けたアピール」を発表しました

統一地方選挙に向けたアピール

―― 地方自治体選挙制度の改革提案

2019年3月18日 選挙市民審議会

 

 

私たち選挙市民審議会は、日本の選挙の問題点・課題について検討をかさね、その打開策を練ってきました。その成果に立ち、来たる統一地方選挙にのぞんで、地方自治体の選挙制度(選挙制度本体)について、私たちの改革案を提示しつつ、改革の必要性をアピールさせていただきます。地方の選挙制度の改革も国政のそれにおとらぬ重要性をもっているからです。

地方選挙から日本の選挙の改革を

選挙制度の改革案をのべる前に、その前提または土台にかかわる次の一連の問題にも留意するべきと思います。国政と地方政治の双方にわたります。

① 戸別訪問などが選挙で禁止され、それが通常の政治活動をも制約  

② 世界で突出して高額な供託金制度  

25歳か30歳になるまでの立候補の制限

④ 立候補に際し多くの職場で離職を迫られる現実  

⑤ 在日外国人の政治参加の制約  

⑥ 女性の候補者・議員の極端な少なさ  

⑦ 選挙運動期間制とその短さによる弊害  

⑧ ポスターの掲示やチラシなどの配布の制約  

⑨ 投開票の不正など選挙事務の抱える問題  

⑩ 主権者教育の不十分さ

これらのうち②は国政の方が深刻ですが、他は地方政治への弊害がより深刻といえるでしょう。そこに選挙制度の不備とが合わさって、地方選挙における投票率の顕著な低下、候補者の定員割れと無投票当選の多発などが進行しています。

私たちはこれらの問題・課題について、民主主義の身近な学校とされる地方政治・地方自治において実践的かつ着実に改革していく方向を国民・市民すべてが共有するよう訴えるとともに、以下に地方選挙制度について三つの改革案を提起します。

地方選挙制度の改革1:首長選挙に決選投票制を

地方自治体の首長選挙すなわち都道府県知事選挙・市町村長選挙に、決選投票制の導入を提案します。現在の制度では第1位の得票数の候補者が当選となります。これは単純でわかりやすい方法ですが、民主的な選任方法として正統性に疑問符のつくケースがあります。現制度では有効投票数の4分の1(25%)が当選に最低限必要な法定得票数です。したがって候補者の多い首長選挙では投票者の25%での得票での当選もありえ、首長として正統性が損なわれます。首長選挙は投票率が低い傾向があるので、少数者にしか支持されていない首長が生まれ、正統性がさらに損なわれます。

現制度がかかえているこの難点を打開する方法として、有効投票数の50%以上を得票した候補者がいない場合、上位二候補による決選投票制とすることを提案します。これにより投票者の過半数の支持を受けた首長を選任でき、民主的な正統性が確かなものとなります。

決選投票がありうる選挙では候補者擁立の動きも活発になり、まちづくりの進路・政策への関心を高め、投票率も高まるでしょう。そして決選投票がおこなわれることになった選挙では、さらに進路・政策の関心と議論を高めることになり、有意義な選挙になるでしょう。

地方選挙制度の改革2:都道府県議会選挙・政令市議会選挙を比例代表制に

都道府県議会議員選挙、およびそれに近い規模である政令指定都市の市議会議員選挙を、比例代表制に改革することを提案します。

これらの選挙では小選挙区・中選挙区・大選挙区が混在し、それぞれに弊害が起きています。そこに共通しているのは、個人中心の選挙となり政策論議が低調な状態におちいっていることです。それでいて政党・政策グループ化が進んでおり、そのことは多様性のある民意反映のルートとしての役割を政党などがはたすべき状況にあることを意味します。実際にそのような民意の反映体制にし、政策論争を活性化する必要があります。そのためには政党や政策グループを選択する選挙である比例代表選挙にするのがもっとも有効と考えられます。

比例代表制にも色々な方式がありますが、得票に比例した議席配分を忠実におこなうことを基本とし、その上で複数の選択肢の中から広い納得のえられる方式を採用すべきでしょう。

地方選挙制度の改革3:市町村議会選挙に複数候補者への投票制を

市町村(政令市のぞく、東京都特別区ふくむ)の議会選挙の投票を、1候補者のみへの1票制(単記投票制)から複数候補者への投票制(制限連記投票制)に変更することを提案します。

現在は当該自治体の全域を1区とする大選挙区制(大きな市はいわば“超大選挙区制”)がとられていて、投票は1票制です。形としては選択肢がひろいわけですが、とらえどころのない選挙になっているのが実態であり、いきおい投票者の多くは近場の地域世話役の性格をもった議員をつくる傾向になっています。したがってまちづくりの進路・政策についての議論の起きにくい選挙となり、かつ進路・政策を共有する候補者がグループを結成して選挙にのぞむというあり方になりにくい実態です。

そこで進路・政策による候補者のグループ化(政党をふくむ)をうながす方法として、複数候補者への投票制が考えられます。自治体の規模の大きさに応じて、2名連記、3名、4名、そして最大5名連記あたりまでが妥当でしょう。またこの方式は女性候補者への投票行動をうながし、女性候補者・女性議員の増加をもたらすと期待できます。

 

 

 

*詳しくは当審議会の『選挙・政治制度改革に関する答申』をご覧いただけると幸いです。

 

    

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190318統一地方選挙前のアピール【確定版】.pdf
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「参議院議員選挙制度改正をめぐる声明」を発表しました

参議院議員選挙制度改正をめぐる声明

 2018年7月、参議院議員の選挙制度をめぐり、総定数の6増(埼玉選挙区で2議席、比例区で4議席)、比例代表選挙における特定枠の導入を内容とする、改正公職選挙法が可決された。私たちは、この改正には以下のような重大な問題があると考える。

 

 第1に、都道府県選挙区における投票価値の不均衡の抜本的な是正が見送られ、小幅な手直しにとどめられたことである。最高裁判所の度重なる指摘を受けて、2015年8月、徳島・高知、鳥取・島根をそれぞれ合区する手直しが行われた。この改正は最小限度の手直しにすぎず、改正公職選挙法の附則では、「平成三十一年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする。」と定められた。にもかかわらずその後、この約束は果たされず、今回の改正もごく小幅な手直しにとどまっている。参議院のあり方をふまえた、投票価値の不均衡の抜本的な見直しを可能とする選挙制度の実現が必要である。

 

 第2に、比例代表選挙に導入された、あらかじめ定めた候補者を優先的に当選させる仕組み(特定枠)についても、重大な問題がある。この改正は合区対象となった選挙区の議員の当選を確保することを狙った措置であると報じられており、党利党略で導入された制度であることが強く疑われる。また、非拘束名簿式の比例代表制に拘束名簿式の要素を組み込むもので趣旨がわかりにくい。政党の意向次第で、非拘束名簿を維持することも、拘束名簿とほぼ同様のものとすることも可能であり、政党のときどきの都合によって、選挙制度を改変できるということになりかねない。こうした仕組みによって、国民の意向とかけ離れた議員が当選するようなことにならぬよう、厳しく監視してゆく必要がある。

 

 第3に、議論の進め方にも大きな問題がある。選挙制度の改正は各党の利害に直結する問題であるだけに、最終的に全会派の一致を得ることが難しいとしても、特定の政党の利益のみを図るような仕組みが導入されることのないよう、できるだけ幅広い合意を得ることが重要である。これまでも、参議院の選挙制度改正をめぐっては、各党が参加する協議の場が設けられ議論が行われてきた。しかし今回の改正は、そうした議論をふまえることなく、いわば見切り発車で行われた。特定の政党の都合を優先した改正がなされるとすれば、今後に大きな禍根を残すことになる。

 

 私たち選挙市民審議会では、本当の意味で民意が反映される選挙制度の実現をめざし議論を重ね、201712月には、あるべき選挙制度についての答申を発表している。参議院議員は憲法上、衆議院議員より任期が長く、半数ずつ改選されることから、それぞれの議員が専門性を高め、長期的視点より政策課題に取り組むことが期待される。そこで私たちは、参議院議員選挙制度については、参議院が果たすべき役割をふまえ、政党だけでなく「人」の選択にも重点をおいた仕組みとして、大選挙区単記制または連記制を提案している。こうした仕組みの導入により、投票価値の不均衡も抜本的に是正される。また、現在の国会議員数は決して十分とはいえないことから、国会が適切に民意を反映し活動できるよう、参議院議員数を 300程度とすることも提案している。

 

 なお、定数増をめぐっては、メディアなどで批判がなされている。しかし、議員定数は本来、民意を適切に反映するうえでどの程度の議員数が必要かという観点から考えられるべきものであり、定数増も一概に否定されるべきではない。ここしばらく、衆参両院で定数の削減が進められてきたが、日本の国会議員数は人口比でみると、ヨーロッパの主要民主主義国と比べても決して多いとはいえない。参議院のあり方をふまえた選挙制度改正にあたっては、むしろ議員増の可能性も含めて、より適切に民意を反映する仕組みが探求されるべきである。

 

 このような提案もふまえつつ、あらためて、より適切な民意が反映されるような参議院議員選挙制度の実現に向けた本格的な議論を強く求めたい。

 

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参議院議員選挙制度改正をめぐる声明.pdf
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▼選挙制度関連イベント情報

 

 



▼衆議院議員選挙制度の改革

衆議院議員選挙制度の改革(要約)

 

1.現行制度の概要

小選挙区比例代表並立制で、議員定数465(小選挙区289、比例区178)とし、1人2票で小選挙区と比例区にそれぞれ投票する。比例代表選挙は11ブロックに分けられ、一定の要件を満たす政党は重複立候補を認められ、名簿上同順位にした場合は、小選挙区の惜敗率で順位が決定する。

 

2.現行制度の問題点

① 小選挙区の比率が高く、政党の得票数と獲得議席数に大きなかい離を生じている。

② 多くの死票が発生している。

③ 小選挙区中心のため、新たな政党や候補者の参入が困難となっている。

④ 小選挙区をめぐって「一票の較差」問題が生じている。

⑤ 政権交代が可能な制度という当初の考えと、強い参議院の存在との適合性について考慮が十分でなかった。

 

3.改革の方向性

選挙制度の改革は、簡明なもので、かつ明確な理念に基づいたものであることが必要である。また、多様な民意が反映されるものであり、そのために多様な選択肢が提供されるものが求められる。

 

さらに、上記の問題点を解消するような制度設計が必要であり、具体的には

①死票が少ないもの、②制約が少なく新興の勢力や無所属であっても参入できるもの、③政党の新陳代謝や自己革新が促進されるもの、④有権者と候補者の近接性に配慮したもの、⑤政策本位、政策競争の選挙を促進するもの、⑥投票価値の平等を実現するものであることが必要である。

 

4.両院共通の問題点と改革方向

① 議員定数について

議員定数は漸次削減の方向にあるが、全国民を代表する国会にふさわしい、多様な民意や、少数意見及び各地域の声を反映させるという観点から、適切な議員定数が検討されるべきである。議員定数増加による国民の財政負担の問題は、歳費や議員の国会活動費、政党助成金など総合的に検討を行うべきである。

 

② 女性議員比率について

列国議会同盟の統計(2017年9月、下院)によると、193ヶ国中165位であり、国際的にも女性議員の割合が極めて低い状況にある。法的強制力を持ったクオータ制は憲法上の議論があることから、政党助成金の増減により女性候補者の擁立を促したり、比例代表選挙において政党が自律的に女性議員を増やす仕組みをとりあえず提案する。

 

5.改革案の提言

以上から、次のことを考慮しつつ、比例代表制を基本とする制度を提言する。

 

(選挙区について)

得票数と議席数が比例する制度の趣旨を損なわず、有権者が候補者を選択できる範囲を考慮して次の通りとする。

① 議員定数は最低でも15議席とする。

② 少なくとも20程度の選挙区を設ける。

③ 北海道・沖縄はそれぞれ独立した選挙区とする。

 

(議席配分方式について)

① 現行のドント式よりもヘア式(ヘア基数最大剰余法)の方が、得票に比例した議席配分ができることから、ヘア方式を採用する。

② 平均で25~30議席程度の選挙区を想定するため、議席獲得に3~5%程度の得票が必要になることから、阻止条項は検討する意味が乏しい。

 

(名簿方式について)

① 得票数と議席数の比例性を基本としつつ、有権者が候補者を選択できる非拘束名簿式を採用する。

② 新興勢力や無所属でも参入しやすい仕組みとし、個人による立候補や政党間の統一名簿も許容する。

③ 女性議員の比率を高めるため、政党の裁量で、投票後に男女交互に得票順位よって当選者を決定する方式も認める。

 



▼とりプロなう

 ニュースペーパー「とりプロなう」をお届けしています。

  (バックナンバーはこちらからどうぞ)

 

とりプロなう113号

2019年9月24日、第二期選挙市民審議会の第19回目の審議会が開催されました。

この日のテーマは、①抽選制議会、②国民投票法改正、③請願制度改革、④罰則規定、⑤目的規定改正、⑥政党助成法改正でした。

 

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