とりプロなう95号

国際シンポジウム「選挙を変えれば暮らしが変わる」講演録

 

2018 4 20日、飯田橋で、国際シンポジウム「選挙を変えれば暮らしが変わる ♪モノトーン議会からオーケストラ議会へ♫」が開かれた。

 

100年間、国会も地方議会も比例代表制の国ノルウェー。
1996年に小選挙区制から比例代表併用制に変えたニュージーランド。

日本と同じ小選挙区比例代表並立制だが、比例枠にクオータ制を強制した韓国。

 

以下は、その3カ国からの講師の発言の速記録である。

記録にあたって、全国フェミニスト議員連盟会員や参加者有志から提供された多くのメモも参考にさせていただいた。 

 

(2018.4.24 全国フェミニスト議員連盟 三井マリ子)


1 ノルウェー

(講師:トム・スナップスクーグ、通訳:仙波亜美)

 

ノルウェーでは、女性の 73%が働いていて、労働界への女性参加は世界でもっとも高い国 のひとつである。両親ともに働いている家庭の子どもが多く、保育園の需要は高い。1歳から5歳までの子ども全員つまり 100%が保育園に入れるよう、法律で保証されている。実際、1歳から5歳までの子どもの 90%以上は、保育園に通っている。

 

こうしたことを実現するためには、女性の問題を考えるだけでは不十分であり、男女平等に向けて、家庭・職場の両方において、父親の役割を大きくしなければならない。だから、ノ ルウェーでは男女ともの育児休業、とりわけ男親だけに割り当てられる育休クオータが設 けられている。結果として、幼児期に父親がかかわる割合が増えた。育休には、父母それぞれに割り当てられる育休期間、父母のどちらがとってもいい育休期間がある。

 

15年前、世界で初めて、ノルウェーは上場企業の取締役の少なくとも 40%を女性にするク オータ制を導入した。この目標は、2008年に達成された。しかし、それでもなお私企業の上級管理職(top executive level)には女性はまだ多いとはいえない。

 

一方、政治の分野における女性の割合は大変高い。起源は、女性が初めて参政権を獲得した 1913年にさかのぼる。女性参政権は、女性に男性と同じ土俵で民主的機関に参加する権利を与えることになった。以来、民主主義形成プロセスに参加する女性は、徐々に増えてきた。

 

ほぼすべての政党に、女性部や女性委員会がある。党内にクオータ制をしいている政党も多いが、クオータ制をしいていない政党でも、男女平等の達成に努力してきた。政党のほとんどは、男女平等一般に注目し、とりわけ労働界の女性参加が、マニフェストに明記されることとなった。

 

男女平等の達成にクオータ制導入が最善なのかどうかは、いまだに議論が続けられている。クオータ制は、自発的クオータであれ、強制的クオータであれ、男女平等の実現に効果あり、と証明されている。しかし、クオータ制をしいてない政党でも、男女平等が実現されていることも実証済みである。

 

女性の参加は政治を変えてきた。保育や育児の改善、女性に対する暴力の撤廃への闘い、希望する女性への合法的妊娠中絶、こうした権利は主に女性によって勝ち取られてきた。そして、この進歩は、人々の可能性を解き放つことにつながっていった。つまり、女性だけの問題から一般的政策議論へと拡大していき、男性政治家も、より幅広い問題にかかわるようになり、たとえば大臣は、男女を問わず、所管の分野で男女平等を果たすように期待されるようになった。

 

昨秋の国政選挙で、国会における女性は 40%以上となった。首相、外務相、財務相を含め、閣僚の半分が女性である。また連立を組んでいる3政党の党首は3人とも女性である。

 

さて、選挙制度と関連はあるか、という大問題に移る。国際比較からも、「おそらく、ある」と答えたい。比例代表制選挙では、政党は、ある条件のもとで、候補者リストに女性を載せやすいということがある。

 

ノルウェーの選挙制度は、直接選挙、大選挙区、比例代表制である。選挙民は、それぞれの選挙区で、政党の候補者名簿(リスト)に投票して、候補者を選ぶ。それぞれの政党の候補者から、政党の得票数に比例して、当選者が決まる。政党だけでなく団体も候補者名簿を出すことができる。

 

投票率はかなり高く、2017年の国会議員選挙は 78%だった。1945年以降の国政選挙の投票率は、常に 75%を超えている。地方議選挙の投票率は国会議員選挙より低く、2015年はわずか 60%だった。興味深いのは、女性、高齢者、高学歴の層の投票率が高いことだ。18歳、19歳の投票率は、昨秋は 73%だった。

 

投票率が高いのは、投票しやすい環境にもある。投票日だけでなく、その数週間前から投票できるし、病院や高齢者施設や他の公的施設で投票ができるようになっている。

 

国政選挙は 19の県にあたる、19の選挙区に分けられている。定数 169名で、選挙区ごとの議席数は、各選挙区(県)の人口と、その選挙区がどの地域にあるかによって決められている。

 

地方選挙だが、ノルウェーでは市町村という区別がなく、一律にコミューネと呼ばれていて、 県議会と市議会という2レベルとなる。議員の定数は、地方自治法で最低数が決められてい る。任期は、国会議員と同様に地方議員も4年間である。県議会と市議会の投票は、国政選挙と国政選挙の間の年に、同じ日に行われる。選挙日は、9月初旬の月曜日と、国王が定める。解散がなく、政府であっても、首相であっても、国王であっても、議員の4年の任期を短くすることはできない。

 

国政選挙の投票権は、選挙がある年の年末まで 18歳になっているノルウェー国民で、ノルウェーに住民登録のある人と決められている。立候補する権利も、まったく同じ条件である。 地方選挙の場合、国政選挙の投票権を持つ人に加えて、北欧諸国の人なら、ノルウェーに住民登録があれば投票できる。北欧諸国以外の国の人は、さかのぼって 3 年間ノルウェーに住民登録があれば投票できる。

 

政党は、政党登録をする。しかし政党登録をしなくても、選挙への参加は可能である。政党登録をすることで、登録した政党名で候補者名簿(リスト)を提出する権利を確保することができる。

 

登録政党や他の団体は、選挙に際して候補者名簿をつくる。まず、候補者名簿案を選挙管理 委員会に提出して承認を受ける。政党が候補者名簿を提出する際、お金を払う必要はない。政党や他団体の候補者名簿には候補者の氏名が書かれていて、それそのものが投票用紙となる。

 

地方選挙では、有権者は、名簿の候補者に自分個人の票を加えて、当選に影響を与えることができる。候補者1人に1票、何人に加えてもいい。

 

市議会選挙の場合は、他の政党の候補者を自分の選んだ政党名簿(リスト)に加えることも可能である。リストの余白に候補者名を手書きで書き加える。この場合、書き加えられた候補者がもともと載っていた政党に、その票が加えられることになる。

 

政党は、法に従って候補者名簿を自由に作成できる。性別、または少数民族などで、名簿を割り当てるというようなクオータ制の要件はない。国会議員は、19の選挙区すなわち県から相当数が選ばれる、となっている。

 

ただし、もちろん、政党が自由にクオータ制を導入することはできる。実際、ノルウェーの主な政党は、40%の性別クオータ制をとりいれているばかりか、クオータ制をしいていない政党であっても、ほぼ男女同数の候補を名簿に登載している。

2 ニュージーランド

(講師:テス・バースティーグ、通訳:ロイド久美子)

 

昨秋、国政選挙があって、37歳の女性首相が誕生した。彼女は、妊娠していて、6月から6週間の育児休業にはいる、と最近公表した。

 

私は今日、女性議員について、と、選挙制度についての2つを話したい。

まず選挙制度について。ニュージーランドは、MMPと呼ばれる「小選挙区比例代表併用制」という選挙制度である。

 

ニュージーランド国会は1院制であり、議席は 120である。地方議会はあるが、人口 500万弱であることから、日本で県の政策にあたることを中央政府がほぼカバーしている。

 

1996年、ニュージーランドは、MMPすなわち小選挙区比例代表併用制を採用した。この選挙制度は説明がやや難しいが、わかりやすいビデオを Youtubeで流したい。

 

タイトル:MMP (Mixed Member Proportional) https://www.youtube.com/watch?v=8Uk44aykGg4&feature=player_embedded

 

併用制選挙は、選挙人は2種類の投票をする。1 つは、自分の支持する政党を選ぶもので、 もう1つは、自分の選挙区の代表にどの候補者がいいかを選ぶものだ。

 

国会の議席配分は、政党の得票割合とまったく同じ割合になる。たとえば、政党を選ぶ投票で、労働党が全政党の 50%をとったら、国会における労働党の議席は 120議席の 50%すなわち 60議席と決まる。労働党が選挙区で 30人しか当選しなくても、60議席の残り 30議席は、労働党の比例代表の候補者リストから選ばれる。

 

重要なことは、候補者には選挙区を持たない人もいて、選挙区で直接選ばれない候補であっても、各政党の比例代表の候補者リストから当選するということだ。

 

では、なぜニュージーランドが小選挙区制から併用制に変えたか。

 

主な理由は、かつての小選挙区制のもとでは、政権を握る政党の政治権力に対して、国会のチェックとバランスが十分できなかったということにある。女性やマイノリティが少なかったことが主たる理由で、小選挙区制から比例代表併用制に変わったわけではない。

 

では、ニュージーランド議会の女性議員について移る。

 

私たちは、ニュージーランドが世界で初めて女性に参政権を付与した国であることを誇りに思っている。これまで3人の女性首相が誕生している。現在、首相は、さきほど紹介した若い女性、国家元首すなわち総督も女性、最高裁裁判長も女性である。

 

国会議員の 38%が女性――これは歴代最高の数である。ノルウェー同様、1980年代から増えてきた。現在、首相が妊娠しているだけでなく、2人の女性議員が国会にときどき赤ちゃんを連れてきて、国会で授乳したりしている。

 

次に皆さんに見せたいのは、国会議長が議長席で赤ちゃんを抱いている写真だ。昨年の暮れのことで、ちょうど国会で有給の育児休業の額を増やす法案を可決するときだった。

 

それでは、比例代表併用制への移行は、女性議員を増やすことにつながったのか、という議題に移る。

 

女性は確かに大きく増えた(there was a jump)。小選挙区制から併用制に変えた最初の選挙で、まず 21%から 29%に増えた。その理由は、比例代表制は、政党ごとの候補者リストというシステムをとるからだ。つまり、女性は、選挙区で闘わなくても、政党内で候補者リストに載りさえすればいいのである。

 

とはいえ、この「リスト・システム」(List System 政党の候補者リストが基本となる選挙制度)が即、女性議員増を保証するものではない。政党は、候補者リストをすべて男にしたければ男にできる。つまり、ニュージーランドは、クオータ制を選挙法に規定してはいない。

 

実際は、国民党と労働党の二大政党は、女性議員増を約束している。政党が女性議員増を約束しているのはなぜか。それは、国民が女性議員増を望んでいて、女性候補を増やさない政党には、選挙で罰が下る、ということにある。政党が候補者リストに女性を増やしてきた、その出発点は、国民の要求運動(popular movement)である、といえる。

 

女性を迎え入れる環境が用意されていくと、女性は立候補したいと思うようになり、女性がある一定割合(クリティカル・マス critical mass)になれば、女性はさらに増えていく。

 

ニュージーランドはこんな小話がある。ヘレン・クラークが9年間首相にあって、その後、 選挙で負けて首相が男性に変わったとき、子どもが、「びっくりした。男性でも首相になれるんだ」と言った。

 

ニュージーランド国会には女性議員をサポートする環境がある。すでに 1980年代に、国会議場のすぐ隣の部屋に授乳室が設けられた。当時、乳児を持った女性が国会に初めて進出したからだ。

 

国会議員は、育児休業を、他の労働者、他の国民と同じようにとれる。首相が6週間の育休をとると、前述したが、その間、彼女の代行を務めるのは、副首相である。

 

以上、プラス面を述べたが、解決すべき課題もある。国会は非常に長丁場であり、子どもが少し大きくなると預ける保育園が十分でない。

 

まとめだが、ニュージーランドは、国として女性議員増を進めてきて、史上最高の 38%という女性割合をなしとげるに至った。女性議員増を促進に、比例代表併用制選挙が果たした役割は大きい。

 

しかし、比例代表制だから自動的に増えたわけではなく、政党の力と選挙をする国民の要求という2つのコンビネーションによるものだ。急には増えないのであり、クリティカル・マスにまで女性が増えて、女性議員が当たり前になると、さらに増える。

 

私たちは、女性議員を増やしてきたことに誇りを持っているが、50%になってはいない。まだ道半ば、である。 

 

3 韓国

(講師:キム・デ・イル、通訳:オ・ヨンテ)

 

韓国にクオータ制が導入されて 18年目になる。

 

2000年に法改正がなされた。ちょうど、その国会議論の過程に、私は立ち会うことができた。女性団体の活動やフェミニズムに賛同する男性学者たちや政治家などが参加していた。 世界共通でしょうが、人口は男性より女性が少し多い。それにも関わらず、この女性人口に応じた女性代表すなわち女性議員は少なすぎるという文脈に注目していった。

 

韓国は儒教文化の国であり、昔から女性の政治参加に関する環境はよくなかった。しかも、当時は保守系政治グループが政権をとっていた。そこで、女性の政治参加を進めるために、女性団体は、政党の自主性に任せては十分ではない、法制度化が必要だとなった。現在、大きく見て、公職選挙法と政党資金法が存在する。

 

第一に、国会議員選挙における比例区で、政党の候補者名簿の 50%を女性に、奇数に女性を入れるということが義務化された。つまり、政党は、比例枠の候補者名簿の1番を女性にするとなった。義務条項なので、それに違反すると、選挙管理委員会は、政党の候補者名簿を受け付けない。登録後に発覚すると、その登録が無効になる。

 

第二に、国会と地方の選挙区では(小選挙区制)、政党は女性候補を全公認の 30%にせよ、と改正された。しかし、これは努力義務であり、政党が必ず守らなければならないわけではない。

 

第三に、地方議会選挙にもクオータ制がある。具体的には、国会議員の選挙区を1単位として、そこに女性候補1名以上を政党は公認しなければならないとなった。違反したら、選挙管理委員会は、それを無効とする。ただし、政党が公認しても女性が受けないケースもあり、その場合、この規定は適用されない。

 

次に政治資金に移る。女性の政治参加増に向けて、女性を一定割合公認した政党には政府から補助金が出る、と改正された。加えて、政党への国庫経常補助金の 10%を、女性政治家育成発展のために使うこと、となった。

 

こうした法制度改善の結果、どうなったか

 

初めてクオータ制を入れた法改革がなされたのは 2000年だが、国会議員選挙の比例枠へのクオータ制は強制ではなかった。そのため、1996年と 2000年を比較すると、女性議員数に大きな変化は見られなかった。実効性を担保するように、違反すると候補者名簿の登録無効になるという罰則ができてはじめて、女性の割合がグンとあがった。それ以降、ずっと女性議員数は増えている。

 

地方選挙では、広域レベル――都道府県にあたる――は、前年の 2.2%から 2002年は 9.2%に大きく増えた。しかし基礎レベル――市区町村にあたる――は 2.2%であり、変化はなかった。それは当時、クオータ制は広域選挙にのみ適用されたからだ。基礎自治体にもクオータ制が適用されるように法改正された結果、2006年、基礎レベルは 15.1%に増えた。その後 2010年、2014年には、基礎議員の数が広域議員の数を上回った。

 

では、女性の割り当て制すなわちクオータ制導入によって、どう変わったか。

 

第一に、女性の代表数が増えた。具体的には比例代表での女性議員が増えた。クオータ制が導入されて 18年になるが、比例枠で初めて国会議員となった女性が小選挙区に立候補して 当選するケースも増えつつある。

 

第二に、数だけではなく、質的変化がある。女性関連の法制度や法改正が増加している現象にそれを見ることができる。とくに、国民全体の安全や、社会同胞のテーマに関する法律に発展していっている傾向がみられる。

 

第三に、女性議員の専門性・能力に対する評価が変化してきた。たとえば議会内で意思決定の権限を持つ役員に女性が就任するケースが増えてきた。委員長、議長にも女性議員がつくようになったということだ。

 

第四に、女性数が増えた結果、所属政党を超えて女性議員同士の連携を通じて、女性関連政策にとりくむことが可能となった。

 

第五に、議会の政治文化が変化してきた。とくに男性議員にも、女性関連法案を発議するケースも増えてきた。女性議員の秘書官や補佐官に女性職員が就くことも増えた。結果、政治分野における、女性の役割、女性の機能、女性の能力に対する、偏見がだいぶ解消されてきた。

  

 

第六に、政府レベルでも、女性議員増に対する対応に変化が表れてきた。行政機関で、女性高官の割合が増えてきた。女性採用目標性、男女平等採用目標性などを制度化している。さらに韓国の特徴と思われるが、女性政策を専門に企画・執行する「女性家族省」が設置された。

 

第七に、一般国民の投票行動にも変化が出てきた。女性政治家に対する、有権者の、とくに女性有権者の投票行動・意識が変わってきた。それは小選挙区で女性が当選するケースがあることからも裏付けられる。韓国には「女性の敵は女性だ」という言葉があり、小選挙区では、そう言われている。ことほどさように小選挙区の女性議員は少ないのが現状である。

 

 

以上を踏まえて、今後、必要とされる取り組みを考えたい。

 

ひとつは、国政選挙の小選挙区において、女性を全候補の 30%以上公認することを、努力義務ではなく強制条項に変えることである。違反すれば、政党の公募登録を無効にするという罰則が必要ではないかということも議論になっている。

 

二つ目に、比例枠の数を増やして、女性議員増を進めるべきだという話も出ている。

 

地方選挙については、国会議員選挙同様、選挙区候補者の 30%を女性候補にすることを強制化すべきだろう。また、市町村選挙において、政党が女性を公認することを強制化する方策を設けることだ。

 

結論になるが、韓国においては、クオータ制を進める最後の段階になって「まず制度を変えてみよう」が始まった。韓国の儒教文化において、女性議員を増やすことは困難だった。制度を中心に女性の政治参加を拡大して 18年目になるが、17%から 25%になった(編集者注:IPU最新調査で韓国は17%)。女性を 40%から 50%を目指すには、新たなる変化が必要である。

 

まず、女性自身の認識の変化が必要だ。女性は、これまでのように社会から排除された存在から、女の能力を発揮できる場を作っていく存在へ、そういう認識の転換を女性がするべきだ。

 

二つ目は、女性団体の役割が強化されなければならない。クオータ制導入時、女性団体の役割は大きかったが、導入後は、その努力の大きさに比べて成果は小さいとする女性団体もあった。さらに高い水準を目指して、女性を 50%にとする目標が必要である。

 

さらに、能力のある女性政治家を発掘する努力が必要だ。韓国では、各政党は女性政治アカデミー、中央選挙管理委員会は女性政治教育などを行っているが、さらに積極的に進めなくてはいけないだろう。

 

 

4 11 日、日本の衆議院で「政治分野の男女共同参画推進法」可決されたというニュースを見た。しかし実効性がないことは問題だ。実効性を持つには、公職選挙法に強制条項を設けることが必要だ。日本は、儒教の影響など、韓国と似たような文化的背景があると思うが、制度改革をまずやっていくことが大事ではないか。


4.20宣言

 

最後に、参加者一同で「4.20宣言」を採択しました。

 


 

4.20 宣言

 

 「選挙を変えれば暮らしが変わる」に集った私たちは、日本の政治の土台である小選挙区制度が、私たちの暮らしの足かせになっていることに、気づきました。

 

 本日、素晴らしいお話をして下さった国の一つ、ノルウェーは、比例代表制の国です。社会的に不利な立場の人々の声が素直に政治に反映され、女性の政財界への進出は世 界のモデルです。

 

 20年ほど前、小選挙区制から比例代表併用制に変えたニュージーランドでは、女性に優しい議会が生まれています。「小選挙区制は不公平だ」という先住民をはじめとする国民の声が、選挙改革のきっかけでした。

 

 お隣の韓国は、比例代表の候補者名簿を、政党に男女交互に並べさせる法改革をなしとげた結果、女性議員が増えてきました。

 

 さて日本ですが、戦後初の衆院選は「大選挙区制」・「連記制」で、39人の女性が当選しました。その後、選挙制度が変えられ、女性は減り続けました。現在、国会に占める女性は、ノルウェーが割を超え、ニュージーランドは約4割、韓国は2割に届こうとしていますが、日本はわずか1割です( 1)。地方議会も1割強で、全市区町村の五つに一つは「女性ゼロ議会」です。

 

 小選挙区制では、第1党以外の政党は切り捨てられ、政党も候補を1人にしぼるため、女性やマイノリティーは立候補さえ難しくなります。その改善への一歩となる「政治分野の男女共同参画推進法」( 2)は、いまだに成立せず、私たちはなお一層主体的に運動していかなればなりません。

 

 日本の政治は迷路にはまっています。森友・加計事件、自衛隊の日報隠ぺい事件、財務次官のセクハラ事件...など問題が噴出し、安倍政権の支持率は続落しています。それでも政権交代が見通せないのは、先の衆院選において、第1党が 48%の得票で 74%もの議席を得た小選挙区制のマジックと関係があります。

 

 私たちは、私たちの民意が正しく反映される選挙制度を強く求めていくことを、ここ に宣言します。

 

2018420

参加者一同( 3

 

 

注1:第一院(Inter Parliamentary Union 2018.1.1 発表)

注2:「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(配布資料参照)

注3:ただし本日お招きした駐日大使館のスピーカーならびに各通訳者は含まれない